私がM&A支援(M&A仲介/アドバイザリー業)を創業した理由

『企業価値最大化への揺るがぬコミットメント』

1. M&Aアドバイザリーという選択

 私がM&Aアドバイザリーという領域に深くコミットするに至った背景は、単一の経験で語れるものではなく、複数の異なる経験値が論理的に結びついた結果です。幼少期からの株式相場への強い関心、学生時代にデイトレードで生計を立て米国留学で体感した市場のダイナミズムと情報格差、ITベンチャーの事業失敗に伴う増資型M&Aによる組織変革の目の当たりにし、父が創業した企業のIPO達成、大手製造業におけるPMI(M&A後の統合プロセス)の実践、そして上場企業グループ傘下企業における代表取締役としての経営経験、自己勘定投資会社を通した複数EXIT。これらの経験が複合的に作用し、M&Aアドバイザリーが持つ社会的意義と、企業価値最大化における本質的な役割を確信するに至りました。

2. 幼少期から株価への異常な集中と興味

 私の思考の原点は、投資家であった祖父の影響を受け、幼少期より新聞の株価欄を通じて価格変動の背後にあるメカニズムを分析することにありました。多くの同年代が遊戯や表面的なコミュニケーションに興じる中、私は発達障害(アスペルガー症候群)の影響もあり特有の分析的集中力と、物事の本質を追求する強い指向性により、日本経済新聞を読み解き、「株価形成の論理構造とは何か」「そこに普遍的かつ再現可能な法則性は存在するのか」といった根源的な問いに対し、極めて高い集中力をもって、そのパターンと論理を飽くことなく探求し続けていました。この知的な探究は、必然的に「企業の本源的価値(Intrinsic Value)とは何か」「市場はどのような評価軸に基づき企業をプライシングするのか」という、より深遠かつ本質的な問いへと昇華されていきました。

 数値や価格変動の背後にある論理構造、そしてそのパターンに対する私の生来的な強い関心と、それを徹底的に分析し抜こうとする特性は、後にM&Aや高度な企業分析という、極めて精緻な論理的思考と客観的な分析能力が要求される専門分野に進む上で、不可欠な資質となりました。「価格形成メカニズムと企業価値への飽くなき探求心」は、この揺籃期にその礎が確固として築かれたと認識しております。

3. 専業投資家として生計を立て米国留学を経験

 大学進学と同時に、私はオンライン証券取引システムを駆使し、株式市場における実践的な分析と投資活動を開始しました。市場の短期的な非効率性に着目した戦略的アプローチにより、学生でありながら安定的なリターンを確保し、その経験は市場原理を実証的に深く理解する上で極めて貴重な機会となりました。これにより獲得した自己資金を元に米国へ留学した際には、時差を利用して日本市場での株式取引を継続。日米間における投資家に対する社会的評価の差異、情報伝達の速度と透明性、そして市場の成熟度の相違などを実体験として目の当たりにする中で、株価というものが企業価値、市場参加者の期待値、そしてマクロ経済の複雑な動態を織り込んだ「情報の凝縮体」であることを改めて深く認識しました。この経験を通じて、「市場評価を分析する」受動的な立場から一歩踏み出し、「企業価値創造のプロセスに能動的に関与し、その価値を最大化する」という強い意志が、私の中で明確な戦略的志向として形成されたのです。

4. ITベンチャーにおける増資型M&Aの経験

 米国からの帰国後、学生時代より参画していたIT系ベンチャー企業において営業本部長として責務を担う中、同社は急成長と同時に深刻な事業上の困難に直面し、最終的には増資型M&Aにより、株主構成と経営体制が一新されるという大きな転換点を経験しました。この一連のプロセスを経営の中枢に近い立場から観察・分析することで、M&Aが単なる資本の移動や財務上の取引に留まらず、企業の根幹であるオーナーシップの変革を通じて、経営戦略、組織構造、人事制度、更にはサプライチェーンに至るまで、組織を取り巻くあらゆるファクターに対し、深く、そして時には劇的な影響を及ぼす「組織とステークホルダーの未来を左右する極めて重要な戦略的経営判断」であることを、実体験として深く理解しました。

 多くの中堅・中小企業にとって、M&Aは後継者不在問題や事業ポートフォリオの最適化といった、企業の存続と持続的成長に関わる経営課題を解決しうる強力なソリューションです。成功裡に実行されれば、株主はもとより、顧客、従業員、取引先、そして地域社会といった広範なステークホルダーに対し、計り知れない正の経済的・社会的インパクトをもたらす可能性があります。しかしながら、その実行には極めて高度な戦略的判断と、細部にわたる緻密な実行計画が不可欠となります。

5. 父が創業した企業のIPO達成

 父が創業した企業が、ラージキャップPEファンドの戦略的支援を受け、幾多の困難を乗り越えて東京証券取引所第一部市場(現:東証プライム市場)へのIPO(新規株式公開)を達成した経験は、「成功」の輝きと、その裏に潜む「失敗」のリスクが織りなすコントラストを、私に鮮烈な形で体感させました。IPOは、M&Aと双璧をなす、企業価値を市場に提示し、客観的評価を受けるための代表的な手段です。成功は、潤沢な成長資金の調達、飛躍的なコーポレートブランド価値及び信用力の向上、そしてM&A戦略を含む新たな成長オプションの獲得など、莫大な恩恵を企業にもたらします。しかし、その達成に至る道のりは決して平坦ではなく、予期せぬ外部環境の変化や内部統制の未整備など、失敗のリスクも常に内包しているという厳然たる事実を認識しました。

6. 大手製造業におけるPMI(Post Merger Integration)の実践と成果

 ITベンチャー在籍時の主要クライアントからヘッドハンティングを受け、キリンホールディングス株式会社傘下の協和発酵バイオ株式会社に籍を移しました。同社は、キリンファーマ株式会社と協和発酵工業株式会社という二つの大手企業がM&Aにより統合して誕生した企業であり、私はまさにそのPMI(Post Merger Integration)がダイナミックに進行する渦中に身を置く機会を得ました。ヘルスケア市場部門において、戦略策定から数十億円規模の年間予算執行、国内外のマーケティングオペレーション、そして革新的な商品開発までを一貫して担当し、社内トップクラスの事業実績を達成、その貢献を評価され社長賞を受賞いたしました。

 M&Aは、最終契約の調印をもって完結するものでは断じてありません。むしろ、そこが真の価値創造プロセスの始点であり、新たな組織文化の醸成、経営システムの統合、人事制度の最適化、ブランド戦略の再定義、そして業務プロセス及びITシステムのハーモナイゼーションといった、地道かつ複雑極まりないPMIの各施策を着実に推進して初めて、期待されたシナジー効果が具現化し、持続的な企業価値向上が実現されるのです。PMIの成否は、M&A全体の成否を決定づけると言っても過言ではなく、統合プロセスが不調に終われば、価値創造どころか、むしろ深刻な企業価値の毀損(Value Destruction)を招くリスクすら現実のものとなります。

 この極めて実践的な経験から、M&Aアドバイザーの真の役割は、単にディール(取引)のクロージングを仲介することのみに留まらず、ディール・エグゼキューション以前の初期段階からPMIフェーズを精緻に見据え、統合後の価値最大化までを含めた包括的かつ実現可能な将来像を具体的に描き出すことにあると確信しました。買い手・売り手双方にとって、取引後も持続的な成長軌道を確立できるような戦略的ロードマップを提示すること。このPMIに対する深い理解と実践知こそが、クライアントからの絶対的な信頼を獲得し、真に価値あるアドバイザリーを提供する上での揺るぎない基盤となると確信しています。

7. 上場企業グループ会社CEOとしての経営再建と事業承継の実践

 その後、東証プライム上場企業のグループ会社において代表取締役社長(CEO)として経営の全責任を担った際には、経営承継に伴う潜在的リスクの顕在化、営業・経理部門におけるキーパーソンの突発的離職、長年にわたり蓄積された法務・会計処理の不透明性の是正、不良債権の戦略的処理、不採算事業からの撤退及び子会社解散を含む大胆な組織再編、そして時には人員構成の最適化といった、事業承継と経営再建の過程で直面する数多くのリアルかつ困難な課題に直接対峙しました。これらの複雑な課題に対し、最終意思決定者として自ら戦略を策定し、断行していくプロセスは、事業承継の真の複雑性と困難性を骨身に染みて理解する、極めて貴重な実戦経験となりました。結果として、7年間の任期中、極めて厳しい事業環境下において年商50億円規模の組織を率い、全期営業利益黒字を達成するという具体的な経営成果を創出いたしました。この経験は、経営実務における結果責任の重要性を改めて私に刻み込みました。

 M&Aアドバイザーの立場からは、売り手企業に対し、デューデリジェンス(買収監査)において要求される情報の範囲と深度、表明保証(Representations and Warranties)において担保すべき事項の戦略的重要性、そして契約関係、労務、財務といった各経営管理機能における事前の論点整理の絶対的な必要性を、自らの実体験に基づき具体的かつ実践的に指導することが可能です。自らが事業を承継し、経営の最前線で直面した課題と、それを乗り越えた経験から得たインサイトは、アドバイザーとして提供する助言の質と説得力を格段に高める、他にはない独自の競争優位性であると自負しております。

8. 13社の経営関与と6社のEXIT

 私はこれまでに、個人投資家として、また自己の投資ビークルを通じて、合計13社の上場・未上場企業に対し、取締役あるいは主要株主として深く経営に関与し、そのうち6社においてはM&Aや株式売却によるEXIT(投資回収)を成功裏に実現いたしました。これらの多岐にわたる投資および経営参画経験は、成功事例のみならず、期待したリターンに至らなかったケースも含め、企業価値創造を促進する要因と、それを阻害する要因を、投資家と経営者双方の視点から多角的かつ客観的に分析・学習する比類なき機会を提供してくれました。私自身の資産形成の大部分は、これらの実践的かつ戦略的な投資活動を通じて達成されたものです。

9. 社会的使命としてのM&Aアドバイザリー:企業価値の永続と次世代への継承

 日本経済の屋台骨を支える多くの中堅・中小企業が、後継者不在という構造的な問題に直面し、本来有する卓越した技術力、独自のサービスモデル、そして長年にわたり丹念に培ってきた貴重なブランドエクイティ(のれん)を次世代に継承することなく、廃業という苦渋の選択をせざるを得ない状況が後を絶ちません。これは単に一企業の終焉に留まらず、貴重な雇用の喪失、地域経済の活力減退、そして代替不可能な技術・ノウハウの断絶といった、日本社会全体にとって看過できない極めて大きな損失を意味します。

 M&Aアドバイザリーは、この喫緊の社会的課題に対し、戦略的かつ効果的な解決策を提供する使命を帯びた存在です。適切な買い手候補企業や事業承継に強い意欲と能力を持つ経営者を見出し、未だ十分に認識・評価されていない「埋もれた企業価値」を再発掘・再定義し、両者を最適にマッチングさせること。それにより、企業の存続はもとより、産業全体の競争力強化、地域経済の持続的活性化、雇用の維持・創出、そして最終的にはエンドユーザーである顧客満足度の向上といった、広範な社会的便益を創出することが可能となります。

 私たちプライマリーアドバイザリー株式会社は、「企業価値の可能性を最大化する。」 ― これを揺るぎないミッション(経営理念)として掲げています。日本には、独自の技術・ブランド・人材を有しながらも、資本構成や経営リソースの制約によってその潜在能力を十分に発揮しきれていない企業が数多く存在します。一方で、最適なパートナーや資本政策という選択肢にアクセスできれば、非連続的な成長軌道に乗ることが可能な企業もまた少なくありません。M&Aアドバイザリーの専門的知見と実行力によって、成長産業の戦略的再編を促進すること、本来その価値を失うべきではない企業の存続を支援し、最適な承継先へと橋渡しを行うこと。それは、単なるビジネスの枠を超えた、深遠な社会的意義を持つ行為であると、私は強く信じています。

「常に公正性を堅持し、透明性の高いプロセスを維持・運営すること」。これは、依頼主であるクライアント企業や取引の相手方に対して揺るぎない安心感と信頼を提供すると同時に、業界全体の健全な発展と社会的信用の向上に貢献する、私たちの責務です。私が設立したプライマリーアドバイザリー株式会社では、この厳格なコンプライアンス遵守と高度な職業倫理を組織文化の根幹に据え、長期的な視点でのブランド価値向上を目指すサステナブルな経営を実践してまいります。

 後継者不足や事業承継問題がますます深刻化の一途を辿る日本において、M&Aアドバイザリーが果たすべき役割は、今後さらにその重要性を増していくことは論を俟ちません。この領域には、喫緊の社会的課題を解決しながら、ビジネスとしても持続可能な成長を実現できる大きなポテンシャルが内包されています。そしてそれは、私自身がこれまでに培ってきた全ての知識、スキル、経験、そして情熱を結集させるに値する、人生を賭けるに足る最適な舞台であると確信しています。「なぜM&Aアドバイザーなのか?」その問いに対する私の明確な答えは、この仕事が単なる取引手続きの代行業務に留まらず、中小企業の未来を戦略的にデザインし、地域産業のダイナミズムを再活性化し、ひいては日本経済全体の持続的な発展と国際競争力の強化を力強く後押しする可能性を秘めているからに他なりません。そして、その極めて挑戦的かつ知的なプロセスを通じて、私自身もまた、知的な探究心を絶えず刺激され、自己実現を果たし続けられるからこそ、この道を究める価値があると強く信じているのです。

プライマリーアドバイザリー株式会社は、クライアント企業の企業価値最大化を共創する、最も信頼される戦略的パートナーとなることを目指し、全知全能を傾注してまいります。

敬具

プライマリーアドバイザリー株式会社

代表取締役 内野 哲

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