SHIFT<3697>によるクリブネット買収の企業価値評価分析

目次

エグゼクティブサマリー

  • 単体価値(年買法・DCF)では0.5〜1.2億円程度。
  • 取得価額1.5億円は、EBITDA倍率で見ると整合性がある。
  • 超過部分は「関西顧客基盤」「エンジニア人材」の戦略的価値を反映したもの。
  • SHIFTにとっては、地方拠点拡充と人材獲得を同時に実現する投資。

案件概要

  SHIFT(3697)は、子会社ALHを通じて、システム開発・サポート事業を営むクリブネット有限会社(大阪府枚方市)の全株式を1.5億円で取得し、完全子会社化します。実行予定日は2025年11月1日。

クリブネットの直近期(2024年10月期)業績は以下のとおり:

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バリュエーション手法による分析(修正版)

年買法

  • 基準利益:経常利益1,500万円
  • 想定倍率:3〜5年買(システム開発業の中小企業水準)
  • 評価額:0.45億円〜0.75億円

→ 買収価額1.5億円は利益倍率ベースの2〜3倍に相当。


DCF法

売上2.1億円・利益ほぼゼロのため、単体DCF価値は1億円未満に収束する可能性が高い。ただし今後の成長を加味し、営業利益率5%・売上3億円水準を想定すると、DCF評価は概ね1〜1.2億円

→ 買収価額1.5億円はDCF推計を上回る。


EBITDA倍率法

2023年度実績EBITDA:約2,500万円(営業利益2,100万円+償却費約400万円と仮定)。

  • ITサービス業の一般倍率:5〜8倍
  • 評価額:1.25億円〜2億円

→ 今回の買収価額1.5億円は、EBITDA倍率ベースで妥当圏内


シナジー効果の織り込み度合い

  • 顧客基盤拡大:大阪・関西圏での取引先(大手メーカー中心)を即時獲得。
  • エンジニア獲得:経験豊富な人材を確保。採用難環境では大きな無形資産。
  • ALHとの統合:営業・人事ノウハウ共有、単価上昇効果を期待。

→ 実績利益から見れば割高(2〜3倍水準)だが、EBITDA倍率から見れば妥当。差額部分は「人材価値」と「関西基盤のプレミアム」を強く織り込んだと解される。

港区M&Aアドバイザリー
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